乳歯を目の前にして思う事

東京で開業していた時は別として
桶川で再スタートしてから予防主体の考えで
日々診療をしていたことも関係してか、小児の
歯を処置するという機会が多くはなく,有っても
他院で処置が出来なかった子という場合や自然派
を好まれるご家庭で一般の処置に抵抗感があるなど
普通に処置をする以前の段階の方が多かったように思います。
そのような状況で普通なら処置を選択するのが一般的というか
当たり前な状況の虫歯の状態や歯肉の腫れや異臭が認められても
まずはお話からで、すぐに手を出すことを控える姿勢を貫けたのは
大学卒業して所属した団体の特異性もさることながら、そこを出て
一般歯科の修業をする場において行き着いた高密度講義の一つで
東京歯科研究会の市波治人氏の講座内容がかなり影響しているのと
有る患者さんを通してシビアな社会勉強をすることになった切っ掛け
を頂いた医局時代から師匠と教えを乞うて来た今は口パク和尚として
人を診る視点が東洋学から宇宙理論まで広がっている元歯科医の筒井重行
先生の教えや講義内容が啓示的であることは間違いないと思います。
「乳歯に永久歯と同じような処置は通用しない!」
当たり前といえばそれまでですが、そのことを再確認させてくれた
4歳になってお父さんに虫歯のことで連れてこられた健康男児!
最初はお母さんが来院その後にお父さんと娘さんが入れ替わりで
通われ、娘さんは歯並びの問題で矯正処置のため他医院に紹介と
いう流れの中で息子さんの歯が穴が開き歯肉が腫れたという訴えで
処置となる、そこに至るまでの過程を振り返ってみたいと思います。
まず 奥様が友達の紹介で遠方より来院され、お子様を一年前に出産
されたばかりで色々と大変な時期にご本人の虫歯の治療での悩みについて

2009年が初診で、その時までいろいろと歯の治療を受けるうえで
ご本人なりに色んな問題意識が生じ交錯している様子が伺えたので
レントゲンを撮って処置と治療の違いを説明し、極力処置を控えて
右下と左上の第一大臼歯のフォローをしていきながら小さい虫歯の
封じ込めを2026年にかけて行う中、第二子の出産に伴う体の変調から
大学の口腔外科に照会しながらの処置と補綴を行うという流れでしたが

当医院が自費診療のみに診療方針を変えたことが切っ掛けとなり
処置が重なる事で他医院に転院していったという経緯があります。
そして、その中で第一子のお子さんの相談を受けたのが
2010年のお子様が2歳になろうとするとき、前歯の歯と
歯の間に見える虫歯について不安を訴えられたので
まずはお母さんの育児に対する考え方を確かめてから
虫歯予防を踏まえた大まかな生活指導とその時に効果が
期待できるブラッシング法の指導を衛生士さんに依頼して

2014年に再び連れてこられた時は、虫歯が多発!でも踏み止まっている?
ただ、虫歯による乳歯間の緊迫状態や顎の側方拡大とアーチ様式において
多少の難が感じ取れ、将来的に歯並びの不安を感じました。

2015年の段階でその懸念に対し、私なりの確信を持てたのですが
お母さんの意向が自然に経過を追いたいということでそのままに・・

半年後には明らかに問題が起きているのが分かる状態だと説明
にもかかわらず経過を見たいという強い希望を前面に出され

2017年に入って、歯並びの乱れが起きはじめている状態の
写真を見ていただきながら、処置を控えるという考えより

この明らかな問題をまず理解していただいたうえで
お母さんの希望を聞きつつ、小児歯科か矯正への
転院と受診をお願いしたという経緯があります。
旦那様は、奥様に遅れること一年後に来院され

2010年に処置をし始めるのですが、奥様の時とは違って
ご自身の意思がはっきりしており、こちらの立てる処置計画より
ご自身の考えに合わせた処置を行うという感じがずっと続き
そんな中で、第二子の子が当医院に来た時の忘れられない出来事
4歳になって、折角だから口の中の写真を撮ろうと診療台に誘導し
口の中にCCDカメラを入れて虫歯の話をお父さんと話していると
気分を害したのか、診療台から飛び降り裸足で乗ってきた車まで
走って行ってしまい、お父様が慌てて後を追うという事がありました。

旦那様の処置を控えるという受診姿勢が強い信念のもとで続く中
2022年に右下親知らずがご自身の思ったような結果が出せなくなり
そのあたりから私の意見に少し耳を傾けるように?!変わっていき
当医院の料金制度が変わっても通われてくる中で、ご自身の口腔ケアも
熱心に取り組むようになった辺りからお子さんが一緒に診療所に来ている
のを利用してチョコッと口の中を見てアドバイスをするという流れの中で

2023年にお父さんとお子さんの反応を見極め写真だけという約束で
7歳になったこともあり、処置導入訓練のこともそろそろ考えて
全体的に見せてもらった後、思った以上に虫歯の散在状態が確認でき
このままで済ますのはちょっと心配いだという事を説明し

足りない部分を改善してもらえるよう衛生士さんに説明
と指導をお願いし、検査結果や横で聞いていた応答から
お父さんが頑張っているのは痛いほどわかったのですが

乳歯から永久歯に生え変わる激動時期に経過を見るという姿勢での
「子供の考えを尊重しています!」というお父さんの直なる言葉が
お母さんの処置許容と多少違っているような気がしたこともあって
お父さんの頑張りと信念に敬意を表しつつ、なんとかならないかと

2024年3月に8歳になったこともあってレントゲンを撮る了解を得て
それをもとに乳歯残根や虫歯の状態をより専門的に説明するなかで
第一子の方の時のように問題が成長の速度とのアンバランスが問題
を大きくするというところまでは至っていないとはいえこの状態は
さすがに親権尊重の処置方針のままでよいのかという思いが強まり

同年の翌月の4月に入ってお父様からお子さんの歯肉の腫れについて相談
を受けたのを機に、今までとは違う経過に少しの迷いが生じたと推測し
今までのように様子見で経過を追うというやり方とは少し考えを変えて
処置をするという選択もありますよ!と、説明を押し付けにならない様に
気を付けてすると 今回は私の提案に親子で聞く耳を持ってくれました。

やっと意見が受け入れられたことで勢い余って、処置に伴う危険予防
を優先したラバーダム防湿という小児には(術者のにも?)ハードルが
高い工程を半ば強制的に行い処置に集中している中で、たまたま顔色を
チェックした時に本人の目から診療枕に一筋の光る雫が落ちていくのに
気づき、慌ててラダーダムを外し機嫌を確認しながら出来るだけ早急に

処置を終わらせ、レントゲン撮影までは行いその日は終了へ
前の様な逃げ出すという態度とは違う、今回の行為をどう思ったかが
何となくうかがえる私の目をジッと凝視していたのが印象的でした。
帰り際に、このまま抜けるまで放置するか詰めるかを説明し

同年の7月になってその歯だけ詰めることを希望され来院
手前の歯もレントゲンからの勝手な予測ではありますが
処置をしておけば?と思う気持ちからの説明は抑えました。

その年の年末になって、本人(子供)の希望で反対の穴(虫歯)を詰めたいと
言い出したという事でお父様に連れてこられた時には胸を撫で下す思いで
指導を受けた割には衛生状態がという一番の突っ込み処は口にせず

汚れをかき分けながら一時的な詰め物を行い、他の大小さまざまな
虫歯は訴えが無いこともあって、祈る思いでそのままに・・

2025年12月になって、お父さんからの相談としてお子さんが
「詰めたところが外れたか欠けたみたいだけど見せるだけに
してほしい!」と言っているという事だったので、とりあえず
連れてきていただき何もしないという約束で写真だけを撮り、
処置をしたことで通常の使用(咀嚼)し始めることが、本来
痛みや穴が開いた病態感での制御思考を麻痺させるることで
同じことの繰り返しになる我流歯科処置の宿命と自戒の念(-_-;)


2026年2月に右下の処置した歯が腫れたと来院したのでレントゲン撮影
させてもらい、処置が根に及んでいなく根の状態が反対側と違う事を説明し
腫れた歯は脱落時期に近づいていることを伝え噛むことを慎重にすることと
腫れたことについての心配は以前ほど必要ないと理解していただきました。

同年の8月になると、欠けた歯が舌にあたって痛いと来院されたので

当たる部分を削合して痛みを解除し、反対の問題の歯が
どうしても気になったのでレントゲンを撮らせていただき
今までの乳歯破折片残存とは異なるため抜歯を説明しました。
当然麻酔も使うし、痛みと恐怖に耐えてやる意思を持つには
有るがままの教育方針とは方向性が合わないとは思いましたが

4日後に、無事抜くことが出来てその根の先に見える病態
を確認し、抜くことの正当性と依然行った神経の処置への
疑問符がいつものごとく私の胸に湧き始め、乳歯の処置に
対する慎重なる姿勢への確信と反省が入り乱れ、さて
この子の大人の歯の出そろい状態はと思いを巡らす中

本来はこれを徹底すべきという衛生士さん業務!!
そうは言ってもなぁ~ 色々考えていくと答えが・・
難しすぎるよなぁ(-_-;)
<私見として>
歯の正常形態の保全と維持が永久歯と同レベルには無理
というか意味が無い様に思え、顎の成長と歯の位置関係
が常に変化していく変動期において行う処置が固定化を
強いる物性だったり理論が形態的検査と機能的検査なる
ものを基にして行うといっても守備範囲がその域に達し
ていない場合、それをカバーする臨床経験や勘を頼りに?
そこから起こりうる口腔周囲筋の機能不全と身体の成長
速度や方向性に影響を及ぼしかねない精神との兼ね合い
性格形成と親子関係に学業と社会性の構築過程での正常
と思われる成長過程を考えうる関係因子を交えて最善策
を模索するという難題は、経過観察という逃げ口上とは
相まみれないとは思うのですが、その子の可能性に・・
結果は神のみぞ知る❓咀嚼器官の個体の特異性は如何に
<生活情報>
形態:顎顔面頭蓋 歯列 歯 顔貌(軟組織)
機能:消化 呼吸 発音・嚥下 表情
環境:母子関係 時間軸
遺伝:家族歴
何を見るか いつまでみるか どのようにみるか
結果はどうなるか その根拠は
本人の意思は両親の意思の投影?!
みる とは祈りと共に?! 予測の困難性(-_-;)
咬合育成の観点から・・成長発育曲線
計画的に継続した観察を繰り返すのには、子より
親の考え方すなわち情報量と判断基準の明確性
そこに歯医者の質が問われるんでしょうね!
最後に、人の体を診る時の心構えについて筒井重行先生の動画をご覧ください。
