一時凌ぎから本格処置へ
2019年に入れ歯を入れた方の投稿
その時はまだ保険診療をしていて
費用面での問題より作成過程が
私の技術の枠を超えて?という
2019年11月 御本人の気になる前歯の修復を
人工歯を貼り付けることで凌いだつもりが
2020年にその人工歯が外れ再度付けるか相談
これで外れたら諦めるという約束で再接着
2021年2月 修復した人工歯が外れた事と
入れ歯より残存歯で噛んでいようで
左下第一小臼歯が著しく動揺をして
抜歯する時期に来たという状態に
本人の咬合時の噛み辛さの訴えに従い処置をし
そうなると入れ歯で噛むしかなくなった為か
2022年より右上の入れ歯を支える歯が動揺し始め
同年の9月に残根状態の右上第一小臼歯を抜歯
噛むことを控えるよう指示していたのですが
2024年1月 衛生士さんから右上第二大臼歯が
保存の限界に来ているという報告が入り
御本人の了解を頂いて該当歯を抜きました。
同時に噛んでいないつもりが噛んでいた事が
伺える入れ歯の薄い部分が損傷した箇所を院内で
修正して何とか凌いで貰えるかと思ったのですが
同年の4月に入れ歯を支える左上ブリッジが激しく
動揺し始め入れ歯が口の中に安定保持出来なくなり
入れ歯の安定を考慮し、ブリッジを切断し保存が
厳しい歯だけを抜歯し入れ歯の保持を優先し
応急的に人工歯を足して対応してみたものの
このようなすれ違いのかみ合わせ状態では、食事を
する時の入れ歯の安定は義歯の設計上の問題等があり
御本人にそろそろ本気で入れ歯を作り直すことを説明
その時の治療計画として残存歯への概ねの考え方として
上顎第一小臼歯~第三大臼歯が下に伸び出している為
5歯を抜いて総入れ歯にするか、全ての歯を被せ直し
下の入れ歯が入る隙間を作りながら咬合を再構築する
案を費用と絡めて説明しました。
「やりたいけど、費用の工面が・・」という悩みで
何度か細かいプランの練り直しを話し合い
上の歯を全部抜いて総入れ歯が一番安価で出来る
という案は一応プランから外す事にし、御本人の
一番問題解決したいことに焦点を絞り込み
その上で費用面を考慮すると下の入れ歯は作らない
という結論に達しました。
しかし、完成を急ぐあまり先行して型取りした
上顎の印象とそれに付与した対合歯の模型を技工に
出した後で訂正のことを技工に伝えるのを忘れ、
技工所が初めの設計プランに沿って本印象ではない
対合の模型で気を利かせて作ってきた試適用の下顎
の金属床メタルと咬合床が手元に届き焦りました。
しかし折角なので、その不必要となった物を使い
嘔吐反射の問題の確認と咬合採得に利用し今後の
治療計画の資料取りに生かせたらと気持ちを切り替え
下顎の入れ歯は嘔吐反射を誘発しないけど上顎後縁が
どうも吐き気を催す原因になりそうだと確認した後
時短狙いで院内にあった人工歯を使って前歯を配列し
技工所に送り返すときに床の後縁の修正を指示しました。
最終試適の時に下顎の位置と上下径の補正をし
技工に最終仕上げをお願いしたのですが、うっかり
下の入れ歯を作る想定の資料取りのまま送ってしまい
set時の下顎の位置が、下の入れ歯を入れたことを
仮想した位置になって噛みにくそうだったので本人
に下の入れ歯は当面作らないということの念を押し
御本人の噛みやすい位置に修正し、あと
一番私が気になっていた模型上での確認で
患者さんの入れ歯着脱が非情に困難である
ことが予想されたので、まずは体験して頂き
口腔内でも患者さんが義歯着脱に四苦八苦
されているのを諭す意味で、今後残存歯を
抜いたときの修理を想定して穴あき入れ歯
という設計にしたことにあることを十分に
説明し着脱練習を入念にして頂きました。
同年の8月後半 全てが終わって患者さんが
「お支払いはお金の用意が出来るまで・・」
と受付で詫びているのを聞き
自費でちゃんと処置するということの難しさを
再確認し、凌ぐというやり方も 有りか・・(^_^;)
同年の10月後半に定期検診にいらしたときの
<余談>
撮影が終わった受付で
「ちょっと撮られてるのもあって
盛っちゃったかなぁ~(^_^;)」
「どのあたりを?」
「最近は硬いものは避けてるんですよ!」
何でも食べられるという行ですね
私も強いてそこを突っ込まなかったのは
撮影を意識してからですが・・
いつもなら
「何でも食べちゃったら、残ってる歯が
壊れちゃいますからね!注意して下さい。」
ってなるのですが
今後の右下の奥歯が抜けていくことを考え
下の入れ歯を作っていくという思惑とは
ちがいますからねぇ~
治せるのは神様(本人) 術者は誤魔化し
御本人が心の安定を取り戻す補助をして
誤魔化しはいずれ結果として問題を作る
その問題をなるべく先延ばしにする努力
だから 予防なんですけどね(^_-)-☆