救世主となれるか? 機能美デンチャー
当初は保険診療を希望されたかたで
2015年8月 お姉様が来院されていて
紹介というわけでは無く、右上の歯の
痛みで来院
保険診療の流れにしたがって
予測される虫歯の確認にレントゲンを撮り
御本人としては存在に気付きにくい
歯と歯の間の汚れの溜まりやすい部分に
かなり大きく虫歯が拡大してることを伝え
痛みを軽減させるため可及的最少切削で
穴を開け、痛み止めを塗布した後に
まずいつも口酸っぱく言っている処置前の
口の中の汚れをコントロールする衛生業務を
衛生士にお願いしたのですが
3回目の来院時に自発痛による不安を訴え
「何回痛みに耐えればいいのですか?」
という当然の疑問に簡単に応えるため
やむなく?痛みの元の神経を取る処置に
移行することとなりました。
処置を進める中で神経の処置が困難な
歯髄形態と開口不慮による難易度も重なり
2回に分けて神経の処置を行うもX線確認で
補綴処置移行の不安がある処置内容の為
とりあえず冠は被せず蓋だけすることにし
根の先と歯周病の問題をどう解決するかを
1本の欠損歯の問題と右下の処置済みの歯の
根の処置問題を合わせて話し合いながら
気付けば7年間ずっと来院されていました。
欠損歯の修復に関してはブリッジか入れ歯で
インプラントは考えないという考えが何度も
頭の中を回っている様だったのですが
2015年10月にお姉様の入れ歯作製を機に
保険のみの入れ歯を作って使って頂き
最初の違和感を克服すると暫く問題なく
使っておられたのですが
2023年9月に 入れ歯が壊れたと来院され
入れ歯の沈み込み防止装置が一部破損し
装着感と言うより咬みづらさがあるとのこと
お姉様の入れ歯がブリッジに変わった事が
話題になるもお姉様と歯の状態が違うため
ブリッジは絶対お勧め出来ない事を説明し
動揺歯の喪失後に本格的な入れ歯の作製を
自費診療にて行うアドバイスをしました。
同年の10月に 入れ歯紛失の報告を受け
そうも言ってられない雰囲気になり
当初から問題視していた右下の修復物の問題と
合わせて色々お話をし、「一寸でも噛める様に!」
「でも、大掛かりにいじりたくない!」という
患者さんの希望としては当たり前な要望に対し
「一番始めに話した高価な入れ歯にチャレンジ
してみますか?」の何気ない一言に
「姉からも言われたの! だからこの際・・」
との即答に 機能美デンチャーの説明を
経験者である妻から受付で話してもらい
御本人の決意が固まったようでした。
同年の12月の初旬に技工所に設計依頼し
その指示に従い天然歯の削合を無麻酔下
で行った後精密な印象を採って、年内に
間に合わせてお正月料理は快適にという構想で
なんとか年末最後の週に技工物が出来てきたので
「お正月は食事が楽になるといいですね。」
と軽く会話をしながら口の中に入れ歯を運ぶと
いつものすんなりした装着感が無く
やっと装着出来ても御本人には到底
外すことが出来ない密着感?!
「きつく感じますか?」「きつくは無いけど
噛める気がしません!」
の絶対避けたい状況に焦って直ぐ技工所に
状況を説明する電話を入れ
「動揺歯が数本あるから印象時の変形があるかも?」
と問題発生の原因を推測しながら指示を仰ぐと
「出来たらもう一度印象取り直して頂いて
申し訳ないですがアルジネートのスナップ印象
追加でお願い出来たら助かります(^_^;)」
と そうきたかぁ~(ーー;)
「私が内面調整して、入る様にして仮に使って
いてもらいながら作り直すのは?」
「それは お勧め出来かねます!!」
だろうけどこのままっていうわけにはなぁ~
ただ、御本人は全く焦ってはいない様なので
事情を説明して再度全て一からやり直す事に。
2024年1月17日 再作成技工物到着
何が違うのかが分からない外見でも
模型と入れ歯の適合の交差性は無く
口腔内でその違いを確認することに
同年の1月22日に 再度口腔内試適を行い
装着直後の感想を聞くと
「前の時と変わらない気がします!」
に一寸焦りましたが、着脱状態を私が
チェックしてみると明らかに変わって
いる事が確認出来たので一安心の記録が
こちら
そこから約2時間かけて調整を繰り返し
なんとか噛めそうな状態までにして
「では着脱の練習をしましょうか。」
の声かけに対して割とアッサリ
「うぅ~ん 外せません無理です!!」
何となくイメージが良くない様なので
何処に問題があるか、御本人と確認
し合ってやっと納得まで漕ぎ着ける
ことが出来た頃にはお互いに疲労感
MAX
一週間後の1月30日に 装着状況チェック
まず、歯肉の炎症反応を確認してから
御本人に寸評を頂くことを了承いただき
できるだけ率直な感想を聞きたくて
中で語られていた時間を掛けた調整とは
着脱のことではなく咬む高さについて
顎の運動を阻害しない程度までに微調整
を繰り返し、御本人の感覚を頼りに
左の状態から右の状態まで移行させた
結果確認をさせて頂きました。
本来は、技工サイドでここまで位は
済ませておいて欲しかったのですが
結果として、丁寧な調整と感謝され
お尻がむず痒くなった次第です。
これから何年間使って頂けるのかが
当医院の存続意義に関わることと
気を引き締めていかねば(・_・)(._.)