修理するは、モノを大切にする心なり?!
四年程前に投稿した
ブリッジがその限界に達し
入れ歯になったと言う症例が
2020年11月にセットし終わったという所までで
終わっていましたが、その後修理に修理を重ね
今に至っている事に患者さんの来院を機に気付き
新規作成より修理をするということの意味を考え
ながら振り返ってみようと思います。
私が安全だと思った設計の入れ歯と
患者さんが最終的に選んだ入れ歯の2つを作り
2つ共持ち帰ってもらい使い勝手の良い方を
使って貰うことにした数ヶ月後の
2021年の1月 早々に予想通りに壊れて来院
設計上の安全だと思われるものよりは
ご自身が装着感の良い方を使っていた様で
使っていなかった入れ歯の利点を説明し
使って頂く様にするも、どうしても前の入れ歯が
良かったというので
同年の3月に技工所に修理と補強を依頼しました。
同年の12月にまた壊れたと来院され えっ?
と驚いて修理をする前に念のため
咬合にも問題が有るので、入れ歯のデザイン変更が
必要だと御本人に簡単に説明し、修理をしました。
2023年5月に再破損で来院されたとき
歯の動揺を危惧してレントゲンを撮り
修理がなんかおかしな状態になっている
ことを不思議に思いながら入れ歯の設計
変更と作成を何とか考えてもらう様に説明
するも今回は一時的に使えるようにと希望され
作ったばかりだということもあり本人の意思を
尊重し手持ちの維持装置を駆使して修理しました。
2024年3月に電話にて相談があると連絡が入り
来院されたときは、入れ歯の新調は口にせず
なんとか2つの入れ歯を使える様に修理する
為に主な維持装置を業者から買い求め費用が
あまり掛からない様に工夫してから
「費用の面で新しい入れ歯を設計変更して作る
のが気が乗らないのでしたら一度保険だけで
他医院で両側に渡る入れ歯を作ってもらって
欲しいのですが・・駄目でしょうか(^_^;)」
修理も頻繁にやるとお金が掛るんですよね。
次は駄目元で行った処置という症例のその後
2014年に補綴してから検診で来るたびに
いつ外れてもおかしくないと訴えながら
2021年に前歯を処置した頃から心配が
外れることと虫歯の再発にまで及び
見え隠れする問題に補綴物の動揺が加わり
2023年11月に腫れが伴いレントゲンにて
手前の歯の土台が崩壊したことを確認
当初の入れ歯のプランに準じた処置に
変更を強く求めたのですが、御本人の
強い意志に基づく要求が ”様子見”
2024年1月に補綴物の脱落で来院された時も
「付けられるモノなら付けて欲しい!」
の強い主張に押され、無理を承知で
修理+再セットを、額に汗かき掻き
「1ヶ月保ちませんけど!」の悲鳴と共に
やるべき処置に目をつぶって要求通り行い
同年の4月の検診に来られたとき
流石に何らかの問題が起きているのでは
という心配から顔を見るなり様子を聞くと
「前と違ってしっかりして助かりました!」
「えっ、痛くも無く噛めるんですか~?!」
で、念のため確認のレントゲンを撮り
初診の時の会話を患者さんと想い出しながら
談笑出来たのには驚きと救われた思いがしました。
ただ、頬を咬みやすくなったという訴えが今流行の
咬合問題か咬頭切除で生じた空間の問題かが(^_^;)
次の症例は、息子が幼児期にお世話になった東京在住の
ご家族で 私が東京で開業の時から何かと気に掛けて頂き
処置より予防という当医院のコンセプトに一早くご理解頂き
歯周病にもかかわらず全く処置はせずにこられた家長様です。
桶川の診療所に来たのは初診から20年以上経った
2020年5月に 前歯が抜けたという連絡が入り
時間をとってゆっくり診察をさせて頂き
レントゲンから推測される今後の問題と
今の問題解決の方法を分かりやすく説明した後
とりあえず応急処置として虫歯の処置と一緒に
修理感覚で歯を足し御本人の要求を満たし
後日改めてまず見た感じをととのえてから
今後起こりうる歯の破折脱臼に備えるために
マウスガードを作ることにし、御本人には
歯を白くするための装置としてと使用を勧め
それに加え咬むことを控えるアドバイスを・・
「人は食べないと死にます!」と反論を受けて
下の奥歯両方の歯の処置と入れ歯の必要性を
説明しただけでその時は終わりました。
その後何度か電話で治療内容について質問と
回答が奥様同士の間で飛び交い
「東京でブリッジやるところを見つけて!!」
「大石さん所じゃだめ?」「入れ歯なら・・」
の繰り返しを女性同士がやり取りしていました。
2021年12月 上の前歯の修理部分が動揺してきた
のを切っ掛けに当医院の治療を決断され
まず下の歯の問題を整理するため両側を一度に
処理し模型を採って設計と咬合床と仮歯を依頼し
2週間後に一気に歯の処置を始め 即時義歯を試適すると
針金が見えすぎると悩まれたので、急遽手持ちの
人工歯で応急的に修理感覚で一時的に歯を作り
金属が目立たない様に技工所で作り直して貰い
それと同時に上顎の機能美デンチャーを作る時
技工所から咬合様式の複雑さを指摘され、患者
さんが受け入れにくい咬合再構築を提案され
仕方ないので普通のものと2種類作って貰い
本人にどちらが使い易いか試してもらいながら
その時間を使って下の抜いた歯の部分の安定を
さほど待たずに作る関係上、保険対応の素材で
下の入れ歯を作って上の入れ歯に遅れて渡すと
とても入れてられないという苦情が(^_^;)
金属とプラスチックの特性の違いから
上の入れ歯と同じ機能美デンチャーが
保険の入れ歯とどのくらい変わるかは
作ってみないと分からないと説明し
御本人の意思が固まるのを待って
下の入れ歯も機能美デンチャーを作って
何とか終わったのが同年の3月でした。
御本人が下の入れ歯を入れる様になったのは
2~3ヶ月立ってからのようでしたが、なにぶん
駆け足でやる事を極力簡略化したことから発生
するこれからの問題を、義歯の使用状況で
コントロールしようとしたツケが・・
2023年1月に 予想していた歯の破折が2~3年早く起こり
今回は動揺して咬む時に痛みを出す邪魔な部分を取り除き
御本人が全く問題なく入れ歯が使えるという主張に対し
レントゲンでその隣の歯がかなり危ない状態だと説明し
今回は修理せず、早い時期に再製するのを避ける為には
強く咬まない様に普段の入れ歯の使い方(下の入れ歯)と
摂食物の選択方法を丁寧に説明し再確認してもらうも
歯に対する態度はそう簡単には変わらない様で・・
2024年4月に 抜けた歯を持参されて来院(O_O)
これは修理より作り替えかと思いましたが
御本人が怪訝な表情で「問題なく使えるけど!」
に諭されて、修理をすることに考えを変え
ならば技工所に依頼することになるからと
「渡してある古い入れ歯は?」と軽い気持ちで
当然 持っている物だと信じて聞いてみると
「えっ 渡されてないよ 多分 いや きっと!」
で、驚きと戸惑いで汗をカキカキ
抜けた歯を加工してそこに手持ちの人工歯を加え
なんとかご本に納得頂けるところまで修理をし
「本当に古い入れ歯・・奥さんにも確認して・・」
執拗に記憶を辿ってもらえる様に声かけをして
数日後、ハッと思いだし廃棄用の技工物の中を
探してみると 有りました しっかり!!
修理が必要なのは、私の脳神経回路だぁ~(>_<)
ただ、前回のお金の流れということから考えると
修理より新規作成を繰り返す方が・・
同年5月10日に患者さんの同意と了解の上
修理のための入れ歯を実費にて作るため
それなりの型を取り技工所へ出すとき
指示書と口頭で当医院の診療目標を伝え
同年5月27日に技工物が届き確認してビックリ
指示通りの設計では無く、複模型にも入らない(ーー;)
保険の入れ歯なら口腔内で調整するんでしょうけど
3年程前に作った即時義歯(保険)ですら
このくらいは本印象に入っていたのを見れば
維持装置が壊れた分適合しやすいとしても
複模型に入る様に作らなかった理由が
修理のための入れ歯だから!という言い訳?
この値段を見れば、通常の3倍はかかるのだから
やり直しも仕方なしっていうか
修理も考えようなのかなぁ(>_<)
ps>「一応、流し込みで正確に作ってます!」
いつも思う、物の値段と事の値段の差?!
自費は事の流れでの評価だと思うんですよね(^_-)-☆