大石院長にインタビュー


埼玉県桶川市にある歯科医院、大石デンタルクリニックの院長大石先生が以前インターネット上で医療関係者を紹介&インタビューする記事に掲載されました。大石先生が考える歯医者、今現在の歯科医療業界について掲載されています。この場では要約してて紹介させていただきます。
この記事は約6分で読めます。

時代を先読みして予防歯科の啓発活動を開始

早くから予防歯科に熱心に取り組まれていますね。
大学卒業後は大学の歯科病院第二口腔外科に所属し、そこで口腔内発症の癌の治療を見させて頂きました。その後麻酔科でも勉強させて頂き、「全身の中の一器官としての口腔」という見方を習得しました。その後開業されている歯科医院での修行後、東京の下高井戸という地で開業しました。当時は本当に一般的な歯科医院で、虫歯治療などいわゆる皆さんが想像される歯科治療を行っていました。そんな中で私にも家族ができ、果たして今の歯科治療を自分の子供や肉親に受けさせることができるのか、自分の目指す理想の歯科治療とはなにかと考え、たどりついた答えが「予防歯科」でした。しかし当時、「予防歯科」は日本では一般的な認知度が低く、患者さんは減る一方。つらい時期が続きました。

その後、桶川の地に移られて20年が経つそうですね。
1998年に埼玉県桶川市に移ってきました。前院の時から継続して通ってこられている患者さんもいらっしゃいますので、大変ありがたい限りです。不遇の時代を乗り越えるためにはどうしたらいいのかと考えて、妻の実家でがある桶川に移ることを決めました。桶川は妻の実家である寺院の敷地の一角にあるんです。当時は私の父にも援助を頼みまして、曲がりなりにも理想に近づくべく、いわゆる外科的な歯科治療を可能な限り行わない、予防歯科をメインとした診療を開始しました。私の父は無医村の田舎の地で医師を長年やっていました。父は生前私に「人を診るということは、その方の一生を診るということである」と語ってくれました。歯科治療にもそういった要素を含ませる為には、やはり予防歯科になると私は考えています。

海外では日本よりも予防歯科の考え方が一般的だそうですね。
そうなんです。歯科衛生士を主役に据えた予防歯科というのが主流で、当たり前になっています。できる限り、私も微力ではありますが、日本でも予防歯科の考えを主流にすべく尽力したいと思っています。要するに私の持つ知識をどれだけ多くの方々にお伝えし、理解していただけるかがカギにになると思います。現状では100人の患者さんに誠意を尽くしてお話して2~3名の方がご理解いただけるといった感じでしょうか。まだまだ道半ばといったところですので、これからも予防歯科の認知の輪を広げていきたいです。

「一般的な歯科治療が最善とは言えない」という考え

歯を削ったりする治療を行うことを積極的にされていない伺いました。
お口の中、歯も当然体の一部です。歯を削ることで噛み合わせやお口の中のバランスが崩れてしまう可能性があるのです。例えば痛い虫歯の部分を削って詰め物をするという一般的な歯科治療の結果、噛み合わせのバランスが崩れてしまい、更にほかの歯に悪影響を及ぼし、最終的に口腔内全体が壊れていくこともあるのです。では全体的な治療をすればいいのではないか、ということになりますが実は現在の保険治療の制度では難しいのが現状です。かといって実費治療を行ったとしても全体的な治療が上手くいくという補償はありません。そこで考え方を少し変えて虫歯でも必ずしもすぐに治療しなくても良い場合があるとすれば虫歯の程度が進行しなければいいというCOという虫歯の捉え方が生まれます。その経過観察こそが、私たち歯科医師がやるべきことだと考えています。

なるほど、一部分の治療が全体に悪影響を及ぼす可能性があるのですね。
はい。ですから治療前は患者さんに、この部分をいじることで全体の咀嚼(噛む)能力が下がる可能性があることや、再治療のリスクがあること、最終的には身体能力にも悪い影響を及ぼす可能性があることを説明するべきだと私は思います。現在「寿命」と「健康寿命」には10年程度の開きがありますが、どういうことなのか考えるべきでしょう。「食」というのは健康に直結しているものです。そのあたりを無視してしまうと、全体がアンバランスなものになりかねません。やはり体全体で診るという視点が重要だと思います。「人間全体の健康観、その中の歯」という位置づけですね。

しかし痛みは我慢できないことがあると思いますが。
確かに痛みはつらいですのね。しかし痛みというのは、体が教えてくれる大切なシグナルなのです。それを痛みだけむやみにやたらに止めてしまうのは、かえって危険だと思います。聞くところによると人間は死ぬとき、死ぬ直前は痛みを感じなくなるようです。痛みというのは生きているということ。その痛みを大切に受け止めて、適切に対処することが重要です。ですが、痛みというのはつらいものなので、一般的な歯科治療ではまず痛みを止めることが治療のメインになっています。とにかく痛みを止め、無理やり噛めるようにしてしまうのだとしたら良い結果が生まれることは難しいと思います。ですから、痛みが生まれないように日ごろからメンテナンスをしておくことが最も大切です。

生活習慣は健康に生きるための大切なポイント

ではどうすれば歯や全身の健康を保てるのでしょうか?
やはり生活習慣や養生法が重要だと思います。ご高齢で元気な方は、毎日体を動かしている方が比較的多いと思いませんか? 実は生活習慣というものは、子供のころから取り組むべき課題であると私は思っています。何を食べ、どんな運動をして生きていくのか、御本人の健康を踏まえた上での理にかなった養生法が長じて大きな差になるのだろうと思います。だからこそ正しい知見が必要なのです。当医院には親子で通ってくださる方もいらっしゃって、良い習慣・行動についてお話をさせていただいています。小さい頃から自然と良い習慣が身につけば一番です。お母さん、お父さん方の頑張りどころですね。

メンテナンスについてどうお考えですか?
お口の中をどれだけ一生懸命時間をかけて磨いても、悪玉細菌をゼロにすることは非常に難しいことです。ですから歯科衛生士の手を借りる必要があります。メンテナンスのペースはまさに千差万別ですからお気軽にご相談ください。また「磨く」というよりも、自己免疫力を上げて細菌に対抗することが大切だと思うのです。それには、適切な食事に関する知識が必要です。プロのメンテナンスやホワイトニングを受けることも一つの方法です。例えば汚れた家の中を片付けるのは誰しも大変なように、きれいな状態を保つことは比較的やりやすいかと思います。ホワイトニングは歯科で一度マウスピースを作れば比較的気軽にできるのでお勧めです。結局のところ、予防歯科を突き詰めれば我々歯科医師が存在不要になることがいいのかもしれませんね。

トライアスロンや水泳など体を鍛えていらっしゃいますね。
今までトライアスロンの大会には2回出場しました。その前はウルトラランニングを目標に筋力トレーニングをして体を鍛えていました。しかし、実は好きで行っている訳ではないのです。患者さんに、私も頑張って継続していることがありますよと体現したかっただけなのです。誰だって怠惰な生活を良しとはしていないはずです。要するに自分のなりたい姿に対して何をやるか「できる」か「できない」ではなく、「やる」か「やらない」かだということです。患者さんも私と同じ人間ですから、意識を高く持って生きていつまでも元気でいてほしいとお伝えしたいのです。そうは言っても、身体を鍛え養生を心がけたとしても不慮の病に罹ることはあるということを経験し、ホドホドという言葉も大切だと気付き始めましたが・・(^_^;)

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