私に出来ることは? 何も無いのかも・・
従業員の知り合いということで
2012年5月 家族に付き添われて
初診来院された 大正10年生まれの方
「入れ歯は、入っていませんから!」
を信じてレントゲン撮ると
ご希望を伺うと
「軟らかい肉が食べれるように・・」
よく聞くと、1~2年前に上の前歯と
一緒に入れ歯を作ったのが思った様に
使えない、噛めない?噛みにくい?
お口の中を拝見し、今までの処置の
過程を推測し聞き取りをしながら
現状の問題と、改善可能なこと
ご自身の希望とのギャップを
付き添いの方に対して主に説明し
費用面、ご本人の処置に対する負荷
噛むことの改善と処置との反比例
などを説明し
年齢や全身状態を考慮し
インプラントを使用しないでの
処置は本人の希望に反することに
なる事を説明し
当医院の判断として
処置を見送る事を提案し
何もせずにお帰り頂いた
翌月
ご本人がどうしても作り直したいとご家族に
懇願されて、改めて来院されたのが 2012年6月
レントゲンより問題となる前歯を撤去するため
仮歯を2パターン考え用意し
なるべく咬合改善が出来るように
残せる歯を状況に応じて判断出来る
準備をすることに
その過程の中でも何とか
処置を踏みとどまるよう説得
説明しましたが
ご本人の意思は変わること無く
とにかく今より噛めるようになりたいと
処置をすれば改善するのが当たり前だと
思われているようなのが
痛いほど伝わってきていました
先ず前歯の問題部を取り除くため
両脇を切断すると
何の抵抗もなく外れてきたのが
こちら
あとは左右どちらを残すか
レントゲンでも悩みましたが
総入れ歯よりはまだ噛めるだろうと
残して作った入れ歯が
2012年8月に装着するのですが
「吐き気が出て入れていられない!」
という予想通りのお言葉が
お口の中はこのような感じで
補綴に自信のある先生でしたら
またブリッジをしてと考えるのかも
しれませんが、私は
「極力小さい入れ歯を作ってみましょう!」
と、ご本人が金属床をと懇願するのを
ご家族に、その無意味さを強調し
2012年10月に二つ目の入れ歯を作り
なんとか噛めるように祈りましたが
思うように納得が得られず
同年の11月に下の入れ歯を作り直して
改善を図りましたが当初の予測が
正しかったという悲しい結果に
2013年の1月を最後に来院されなくなりました。
2019年の11月に 息子さんが治療で来られ
そう言えばと思って聞いてみると
「亡くなるまで噛めない! 噛みたいって言ってました!」
胸に刺さるお言葉を頂き、歯医者としての役目が
入れ歯士 より 歯科医(内科医)になる必要性を
手元に残された入れ歯と模型 息子さんの言葉で
改めて思い知らされ そして息子さんの治療
どうやったら入れ歯にしなくて済むか
私より4つ上の方 似ているのが
「どんどんやちゃって下さい!お金は出しますから・・」
私の出来ることって(;゜ロ゜)